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7.招へい事業の成果
平成8年12月8日、中国漁船「遼大甘漁8321号」は、鹿児島県奄美大島沖にて機関故障をおこし、海上保安庁に救助を求めた。当中国漁船には密航者らしい中国人約70名が乗船していた。
当庁は巡視船、航空機を現場に急行させ、該船の調査を行うとともに、食料、水等必要物品の援助を行ったが、該船機関復旧の見込みはないと判断された。もし日本に該船を引き込むことになれば、乗船者及び船体取り扱いについての交渉が長期化することが予想されたので、関係省庁の協議により、中国側に、中国救助船による中国までの曳航を要請することとなった。
外交ルートを通じて中国側に救助船による該船の即時引き取りを求めたが、回答は得られなかった。
そこで、当庁から中国交通部安全監督局に対して、該船の状況を連絡するとともに、救助船の即時出港を要請したところ、それから間もなく同局から、所属の救助船2隻の中国大連出港を指示したとの連絡があった。その後2隻の救助船は「遼大甘漁8321号」と会合し、同局が手配した別の曳船により該船は無事中国に入港した。
本件成果は、中国交通部安全監督局長及び弁公室処長を我が国に招へいし、同局と海上保安庁の業務協力関係を構築し、また、直接の連絡ルートを確立した直後のことであり、中国と日本の海上保安機関が直接連絡を取り合い協力したことによるものと考えられる。
 

 
 

 

 

 

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